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「どれだけ心配したか分かってるのか!」「おい!聞いてるのか?!何とか言え!」MAK家に男性教師達の怒号が響く。TVの前では正座した巨漢が、周囲の喧騒をよそに、我関せずとばかりにプレイを続けている。軽快な音楽、フラッシュする画面。無表情にTVを見つめる巨漢を囲むように立つ学年教師達。ザナックと聞くと、今でもあのおかしな光景を思い出す。


この事件をまともに書くとネタ的には面白いのだが、相当な長文になってしまう。今回そっちの話はなるべく短く書いたつもりだが、ゲーム内容には関係ない話が続いてしまう。しかしこれがザナック最大の思い出。暫しお付き合いを。

同級生の巨漢ゲーマー「シンジ」が2日前に家出。そのまま逃走を続け、未だ行方不明。平和の象徴のような田舎中学では大事件であり、教師達や関係者は血眼になって探し回っていた。長期休みに入ったばかりだったので、この事は我々生徒には知らされていなかった。

シンジは学年屈指の巨漢で、友達に対しても敬語や侍言葉で喋る面白い奴だった。普段は温厚なのだが、何かの拍子で人格がぶっ壊れ、いきなり全く罪も無い人を本気でぶん殴ったりする危険人物でもあった。今思えば彼の家庭事情は超複雑だったので精神を病んでいたのだろう。

勿論学校では変人扱いされていた。他にもエキセントリックな奴が数人居て、当時流行っていた奇面組ならぬ変人組の様相だった。その変人組には俺の馴染みの人間が多かったのはどうもおかしな気分だが・・。

早朝、いきなり俺の家にシンジがやって来た。ゲーセンでは毎回のように顔を合わせていたが、自宅で遊んだ事は数えるほどしかない。その彼が不自然なぐらいの早朝にアポも無しで訪ねて来た。「何か妙だな」とは思った。

玄関に立つシンジの様子がおかしいので、どうしたのか尋ねてみると家出中だと言う。公園で眠り、金を持ってないので水しか飲んでないらしい。このやりとり中、腹を空かしたシンジが言った「飯を所望致す」は後に仲間内で流行した。中学生でこの台詞、やはりキテいる。

飯を食わせ、ゲームを一緒にやっていると何やら外が騒がしくなった。バタバタと車のドアの音が聞こえ、家の門が開いた。そして玄関のチャイムが鳴った。覗き穴から見てみると学年教師が勢揃いしている。

ドアを開けると血相を変えてドヤドヤと上がり込んで来る教師達。そこには何故か正座してザナックをプレイするシンジの姿が・・。ここから冒頭のやりとりへ繋がる訳だ。

丁度この時に何も知らないKが遊びに来てしまい(元々約束してた)、「アンタ達はいつもこんな朝早くからゲームしてるの?!」と、トバッチリを受けて怒られる事態に。変人巨漢のせいでいい迷惑である。

この日、教師達はゲーム好きなシンジが立ち寄りそうな友達の家を車で順番に回っていて、何軒目かでウチに到着。そこでシンジのチャリを発見。捜査令状を持った警察の如く、俺の家に踏み込んで来たという訳だ。

無言ザナックプレイの抵抗も長くは続かず(当たり前だ)、車に連行されるシンジ。完全に犯罪者と刑事だ。シンジの訪問から1時間程度で事態は収拾したのだが、やたら疲れた記憶がある。

長々とゲーム内容には関係ない話になってしまったが、俺とKはザナックと言えばこの思い出しかない。なのでザナックはこれにて終了。とはいかないので久々プレイしてみた。

今は無きコンパイルが開発してポニーキャニオンが発売。タイトル画面で既にノリノリの音楽。このゲーム、高速スクロールとAIが代名詞になってるが、音楽も秀逸。全てにおいて、後のSTGに多大な影響を与える事になった伝説のSTGだ。凄い内容のゲームなのにディスクの片面しか使わないとこも素晴らしい。因みに俺のディスクの片面には、隠れ名作として一部では有名な任天堂のバレーボールが入っていた。
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パッと見はオーソドックスな縦スクロールのシューティング。地面に埋まってる数字が書いてある地上物を撃つとパワーアップアイテムが出現する。0~7番まであって、それぞれに一長一短がある。続けて同じ数字を取ると更に強化される。通常弾は画面の青い空中物を壊すと緑?の玉が出るのでそれを取るとパワーアップ。これも何段階か強化される。
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0~7番まであるサブウェポンはどれも似通った物が無く個性的だ。これらの使い分けも楽しいし、1つを頑固に使っても進める事が出来る。この辺りのバランスが素晴らしい。チキンな俺は2番のバリア、3番の自機の周りを回る物体?などの防御系のサブウェポンが好きだ。ただあまり安心出来る代物ではないが・・。

防御系サブウェポンだと通常ショットしか攻撃の術がなくなるのでボス戦が厳しくなる。ボス戦にはタイムがあり、時間内に破壊出来なくても次のステージには進む事は可能だ(後半は戻される)。ただその場合は後がきつくなるらしい。これについては後ほど。

中ボスを倒して暫く行くとステージボス。ザナックのボスは全て地上物(だったはず)。敵弾は通常ショットで消せる物やサブウェポンで消せる物、全く消さない物がある。
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無事破壊するとビヨーンとワープして次のステージへ。
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ザナックはAI制御ゲームと謳っていたが、当時は何がどうなのか全く分からずプレイしていた。今になって調べてみたら色々な事が分かって面白かった。先ず連射すればするほど難度が上がるらしい。後は敵の偵察機を破壊出来なかった場合や、ボスを倒せずに次のステージへ行くのも難度UPに繋がるようだ。

また取った武器やパワーアップ状況で敵の攻撃がガラリと変わる。それ故、攻略方法が毎回全く同じで良いとは限らないのだ。こういった所は、アルゴリズムを覚えて一歩一歩進むプレイヤーはあまり好きではないだろう。実は自分も苦手だ。

当時も今も連射機能付きのコントローラーでやっていたので難度がやたらUPしてたようだ。しかしチマチマとショットを撃つのは性に合わない。やはりシューティングはバシバシとショットを連射出来る方が良い。事実を知ってしまった今も連射しまくってプレイしてみた。

難度なんぞ知ったこっちゃねぇと突き進む。ザナックは敵キャラに個性があって良い。こっちのショットを跳ね返す奴は新鮮だった。どりゃりゃ~!と撃ってもキンキンパラパラと綺麗に降って来る。尚、跳ね返された自分のショットに当たり判定は無い。

ザナックは自機が増えやすいので上手い具合に進めばかなりのストックが可能。しかし激戦区では10機ぐらいは軽くやられる。やられた後、新しい自機が出て来た数秒の無敵時間をフル活用だ。
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ノーマルショットのパワーアップやサブウェポンを取った後も数秒無敵になる。これが後半ではありがたいのだ。それだけ敵の攻撃が厳しくなる。連射がそうしてると分かってるのだがチマチマとシューティングをやりたくない。
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やられながらも突き進む。ザナックは当時のシューティングの中でも「いやらしい」敵が多い。横や後ろからも現れるので厄介だ。ボス戦も破壊出来ない変な敵がいるとボスのコアを撃てなくて時間切れになる。
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夢中になってプレイしてると、これが23年も前のゲームである事を忘れてしまう。それだけグラフィックもサウンドもシステムもクオリティが高い。特にスクロールの速さは当時他の追従を許さなかっただろう。

ラストの数面はボスを破壊しないと戻される。これがまたキツイ。特攻精神でやられまくりながら撃破していく。俺個人の意見だが、ザナックはどのステージにおいても、ボス戦よりも道中の方が何倍も厳しい。

遂にラスボス登場。撃ちまくってたら・・
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何か出た!このゲームも結局脳みそかい!!シューティングはどのメーカーも脳みそ大好きである。何故だろう?開発スタッフが「ムー愛読者説」、「ルパンのマモーパクリ説」は以前唱えたが、今回はこの脳みそが白子に見えたので、「白子好き説」も新たに追加しておこう。因みに俺は白子を食った事が無い。
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白子をたいらげると尋常じゃない点数が入り、自機が増えまくる。祭りと言っても過言ではない。
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それが得点に加算されてエンディングに。と言ってもたったこれだけ。激戦を制した割には実に味気ないエンディングである。それが巷では硬派と言われる所以か?
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プレイし終えて、当時としては奇跡的な完成度に驚いた。今でも十分遊べるレベルである。ただAI云々の仕組みは知らない方が良かった。俺はどうしても連射型プレーヤーなので、それで難度が上がるというのは爽快感を削がれた気がした。知らぬが仏でプレイしていた当時の方が楽しめた気がする。

ザナックを手本に作られたであろうと推測されるSTGが後世に数多く生まれた。それ程に1986年の時点で完成していたゲームなのである。ただどうしても俺は無駄撃ち&連射=難度UPは受け入れられない。そこが他と違って良いんじゃないかと言ってる人も多いが俺はダメだ。こっちが弾幕を張るのが俺のスタイルなので。

教師達に包囲されてる状況下、「タンタンタンタ♪タンタランタッタ♪」という軽快なBGMをバックに、正座しながらTV画面を真っ直ぐに見つめプレイするシンジ。画面のフラッシュでビカビカと怪しく照らし出されたシンジの顔が異様なまでに無表情だったのは忘れようにも忘れられない。

今回、ラストまでプレイしてみたが、やはりザナック=シンジという俺の中の図式を覆すには至らなかった。語り継がれる筋書きの無い大ネタを見せてくれた彼に感謝である。

余談だが、彼とは高校も一緒になったが1ヶ月も経たない内にやめてしまった。退学する日に「5タック」のボンタンを穿いて来るという、ここでも大ネタを披露してくれたシンジは、やはりリアルエンターテイナーである。

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