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そんな中、桁違いに安価なPCが発売された。その名はMSX。入門用の位置付けが色濃く、基礎を覚えるには最適とも言えるPCだった。これでBASICを覚え、当時のプログラムの基本を学んだ人も多かったのではないだろうか。
俺も「PCで色々な勉強をする」と適当な事を言って親にせがんだのだが、実はゲームをやる事しか考えてなかった。結局、MSXの中でも最も安価なカシオのPV-7の入手に成功。安価といっても当時3万円、今考えればかなりの額だ。小学校低学年から鍵っ子であった俺に少しでも寂しい思いをさせまいと買ってくれた両親には本当に感謝している。
一応親の手前、PCとして活用すべく色々勉強するふりをし、雑誌に載ってたプログラムを打ち込んだりしていたが長くは続かず、すぐに完全なゲーム専用機と化した。
後に天下を取るファミコンも既に発売されていたのだが、この頃はソフトも弱く、それ程勢いも無かった。MSXは安価なPCでありながらゲームも面白いと、本分とは若干違う部分で輝きを見せていた時代だった。
しかし徐々にファミコンが勢力を拡大、1985年にはキラーソフトであるスーパーマリオブラザーズが発売され、ゲーム=ファミコンを定着させた。ファミコン時代の到来である。
あくまでゲーム機として考えるならば、遥かに性能の劣るMSX。徐々にその輝きを失くしていくのは当然の流れだった。しかし、性能の劣るMSXでも様々な技術と工夫を用いて面白いソフトを連発していたメーカーがあった。
それがコナミである。当時のMSXはコナミに支えられていたと言っても過言ではない。MSXが衰退していく中で、最後の方まで撤退せずに頑張ってくれたコナミが俺は好きだ。男気を感じる。あのメタルギアだってこの時代のコナミがMSXというハードで世に出した作品(正確にはMSX2だが)。MSX無くして今日のメタルギアは存在しないのである。
1986年辺りは、まだMSXも頑張っていた頃。その中でも俺が大好きだったのが、この「魔城伝説」だ。縦スクロールのシューティングなのだが、当時としては異質な中世チックファンタジーもどき設定。剣と魔法が大好きな俺にはシューティングでその世界に入れるのは刺激的だった。
これは俺の勝手な解釈なのだが、この設定、MSXのカクカクスクロールを逆手に取ったのでは無いのだろうか?主人公は戦闘機ではなく人間、カクカクしたスクロールが如何にも騎士のポポロン(お菓子みたいな名前)が一歩ずつ歩いてる感じがして自然なのだ。あえてそうしているとしか思えない。流石コナミ、そこまで計算していたのか!これぞ死中に活である。(実際知らんが・・)
さてゲームはこんな感じだ。とりあえずこのロゴを20数年ぶりに見て漏らしそうになった。懐かしい!
タイトル画面。当時Kと夢中になってプレイした日々を思い出す。スペースキーを押した時にかかる音楽がまた良いんだよなぁ。ヒュドノスにさらわれた恋人アフロディテを救う為、ポポロンの冒険が始まる。
因みに主人公のポポロンはポーズをかけると布団で寝る。敵の集中砲火の中でもだ。凄い胆力とジャパニーズ布団の性能に天晴れだ。ファンタジーチックなのに、ベッドでも寝袋でもなく布団という所がイカス。
地上にある「?」を撃つとチェスのマークが現れる。画面上の敵を全滅させる、一定時間ストップ、1UP、得点UPなどだ。おいしいチェスマークほど、何発も撃ち込まないと「?」から変化しない。
フワフワとやってくる「P」マークを撃つと色が変わる。この辺りはツインビー的だ。青がスピードアップ、水色が盾装着、白が一定時間透明、赤が一定時間無敵(弾は撃てない)などだ。俺は青と水色で装備を整え、後は白を使って進めていた。赤は弾が撃てないので地上物をチェスマークに変えられないのがダメ。
白黒に点滅する物体を撃つと、今度は武器チェンジが出来る。初期装備は1本矢だが、剣、ブーメラン、火矢、3ウェイ火炎弾、2本矢のどれかを選べる。また、続けて同じ武器を取れば、その武器がパワーアップする。
俺は連射機能が優れている剣が好きだ。2回連続で取ると2本になる。各ステージのラストには当時のMSXにしては大奮発の大きなボスが待ち構えている。これは1面のメデューサ(多分)。既に盾装備済みだが、この盾は何発か喰らうと黄色、赤と色が変わる。コイツは弱いのでザクザク倒す。
2面はこんな感じ。この骨の敵はバラバラになっても再生する。何回かバラバラになると燃えて消える。
2面のボスは死神(多分)。鎌をビュンビュン飛ばして来るが、それ程強い相手ではない。俺はボス戦の前に誤ってブーメランにしてしまい苦戦してしまった。ブーメランは破壊力はあるが、無防備な時間が長いので怖い。
3面はこんな感じ。まだブーメランで頑張っている。ポポロンの右上に見える敵は凄い速さで突っ込んで来るので要注意。ブーメランや火系の武器のように隙が大きい武器は対応しきれない事が多い。
3面のボス。コイツが結構難関。コウモリ、或いは変態みたいに体を隠していて、バサッとやった瞬間に放射状に弾を撃ってくる。俺は直前で火矢にしてしまい余計に苦戦。盾がないと非常に厳しい闘いになる。盾が青いまま闘いに臨みたい所だ。
4面はこんな感じ。敵の攻撃が激しくなって来た。盾が壊れそうでヤバイ。早いとこ水色Pを取らなければ。
4面のボスはコイツ。剣に戻せたので連射で撃破。やっぱこういう爽快感のある武器が好きだなぁ。
5面は城内へ侵入。敵の攻撃が厳しい。白の「P」マークで透明になったり、地上物の「?」青の全敵消しや赤のタイムストップを要所要所で使いながら切り抜ける。
ボスはこのデカイ甲冑騎士。兜が開いてる時じゃないとダメージを与えられない。盾がないとかなり厳しい闘いになる。
6面も相変わらず道中が厳しい。ミニ死神みたいのがかなり厄介だ。
ボスは如何にも怪力って感じなモヒカン巨人。足でドンとやると地割れが起きる。当時はこれに感動したものだ。そんなに強くないが、攻撃を受けると突っ込んで来る雲が厄介。
7面、ポポロンの冒険も佳境に入る。この辺りはマジでキツイ。「?」マークを撃って橋を出現させながら進む。ポポロンは「歩き」なので橋を出現させて渡らないと強制スクロールに挟まれて死んでしまう。要注意だ。敵も姿がチラチラとしか見えない奴や、高速で突っ込んで来る奴、弾吐きコウモリなどのコラボでポポロンを攻め立てる。
川を渡り終え、大地を進むとボス戦だ。ん?どれがボス?!一瞬焦ったが、このステージは写真真ん中辺りに見えるポポロンと同じ大きさの白騎士がボスなのだ。耐久力のある青騎士をワラワラ従えてる上、白騎士もかなりの耐久力。ただ、そんなに厳しい攻撃ではないので、盾さえあればどうにかなるだろう。
遂に最終ステージに突入。道中の攻撃は文字通り激化。盾が無いと話にならない。ゴーストは画面の左右をすり抜けてくるので危険だ。ここでも「P」の白やチェスマークの青、赤を効果的に使うべし。
正直、これは無理だろと思ってしまう敵の猛攻。当時もクリア出来ない人が続出、裏技でクリアする人が多かった。タイトル画面でコマンドを入力すると、ポポロンが99人に増え、長い時間透明になれるらしい。これは明らかに難しすぎると思ったコナミの救済措置に思える。
俺とKは、そのコマンドが雑誌で明らかになる前にとっくにクリアしていた。なにしろやりこみ方がハンパなかった。今日はこのゲームをクリアしようと決めると、早朝から(7時集合とか)夕方までそのゲームだけをひたすらプレイしていた。やられまくってもアルゴリズムを覚え、一歩一歩先へ進んでいった。
これは絶対に1人では不可能だったと思う。見ている側に回った方は、敵キャラのクセやアイテムの場所、安全地帯などを見つけ出すという重要な役割があった。時にはノートに手書きでメモをし、プレイヤーに指示を送る。格闘技で言えば選手とセコンド、ラリーならドライバーとコドライバーのようだった。これでKと2人、当時難攻不落と言われたゲームを次々にクリアしていったのだった。
いよいよ愛しのアフロディテをさらった張本人、ヒュドノスの登場だ。妖怪百目の出来損ないのようなコミカルなルックスの奴で拍子抜けだ。ローキック1発で粉砕出来るような細い足に饅頭のようなボディが乗っかっている。ここまでのボスの方がカッコイイ奴が多かったなぁ。
ボス戦前に矢を取ってしまいダメかと思ったが、どうにか撃破。中盤から後半は武器セレクトの玉が邪魔でしょうがない。敵と敵弾を避けるのに精一杯な状態で、フラフラとやって来るので意図せぬ武器を取ってしまう。身内に敵ありだ。
アフロディテを発見!ポポロンは数人犠牲になったが、どうにかクリア出来た。
ここから歩み寄った時に、カメラがシュッ!と2人だけを抜くのが良いんだよね~。
こうして今プレイしてみても十分面白い。ちょっと難度は高めだが、どうにかなるレベルだ。やられてからの立て直しも同社のグラディウスシリーズよりはグッと楽だし、数をこなせば先へ進めるバランスになっている。とにかく、当時のMSXにしてはグラフィック、サウンド、バランス、全てが最高レベルの作品である事は間違いない。
最近は携帯でも配信されたらしいが、ネットで調べた結果ではかなり温い内容になっていると言う。そんなのはダメだ。魔城と呼ぶに相応しいあの猛攻が無ければ魔城伝説の真の面白さは伝わらない。
1986年は既にファミコンでもマークⅢでも徐々にソフトが増え始め、名作も生まれ始めた頃。今思えば、既にMSXの足元はぐらつき始めた頃だった。劣勢を覆すべく上位機種のMSX2も導入し、ファミコン天下に対抗したが、この数年後には時代の流れに消える事になる。
ゲーム戦国時代の1986年に、ゲーム機としては制限の多い低スペックのハードで、「未だMSX健在」を大いにアピールしてくれたこのゲームに感謝したい。そしてMSXの限られた性能をフル、いやそれ以上に使い切って面白いゲームを連発してくれたコナミに、改めて敬意の念を表する。
この頃のコナミのMSXゲームは創意工夫に満ちていた。ファミコンに劣る性能を十分理解していて、それならばMSXでは何が出来るか、どうすれば面白くなるかをメーカーサイドも真剣に考えてくれてた気がする。
本当に面白いゲームというのはハードの性能云々ではなく、そういった開発者達の熱意、モチベーションの高さから生まれるのではないだろうか。この頃はそれを実感させてくれていた俺の中のコナミの黄金期、その中でも珠玉の名作がこの魔城伝説である。