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今日は朝からモヤモヤしていた。あの人が「M塾に行きたい」などと無茶を言うからだ。


M塾はトロルの馬鹿さ加減と仁王様を中心とした「ガチスパー志向」に呆れて、暫く行くのはやめようと思っていた。しかし・・「行ってみたい」などと言う人間が1人・・。

そう、その人間とは赤鮫打撃のクイーンことYK姉さんだ。あ~心配だ。マスだと言っても出来ない人ばかりだし、辛うじて出来る人達は試合前で入れ込んでるし・・。いくら強いって言っても姉さん女だし・・あ~心配だ。

やるにしてもマー君のみだよと念を押す。マー君は一応マス出来るからね。もし危ない時は高速ショルダータックルで相手をふっ飛ばすしかない。「イオンさん」みたいにね。このCM大好きだわ~。エーザイ万歳。
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正直、今だから話すが、今回の件はかなりの覚悟で臨んだ。YKさんの気分転換や勉強になればと案内役を引き受けたが、もし何かあったら絶対にいけないので色々と頭の中でシミュレーションしていた。M塾戦士が熱くなったら(分かりやすい)そこで割って入って中止させるとか、抜けてない攻撃が入ったら、その瞬間に相手に「イオンさん」で突っ込んでやろうとかね。前日の晩にはマー君と長電話して色んな事を確認しておいた。

とにかくYKさんを無事に帰さねば、テツヤさんはじめ皆さんに申し訳が立たない。それならば行かせなければ良いと言われるが、そこはYKさんのファイターとしての「興味」に応えてあげたいのもある。

午前中はグダグダ、午後は近所の会社のチェーンソー騒音に耐えかねて脱出。晴れてるものの強風。釣りは無理だしトレには中途半端だし、古本屋で漫画を立ち読み。足が疲れる・・。「飢狼伝」や「ろくでなしブルース」、「今日から俺は!」などを読む。1時間半潰して帰宅。早めに赤鮫へ出発。

近くで時間を潰して赤鮫到着。キッズの途中なので見学する。RICKYの息子U坊が「ハゲオさん!」やら「壊れた電球が落ちてる」やら「気持ち悪い」やら言いながらハイテンションになっている。後でYKさんに聞いたが、こんな態度をとってるくせに、俺が来ると言ったら超喜んでたそうだ。カワイイのう~。

キッズを見学。YKさんとOBコーチが手を焼いている・・。この子達は幸せだな~。こんな楽しい雰囲気で確かな技術を身につけることが出来るんだからさ。羨ましいよ。

終了15分前、いつものように「遊びタイム」に。
「マコっちゃん!腕にぶら下げて回すのやって~!」「俺も~!」「俺も俺も!」
「今日はこの後、他のとこで練習するからダメだ。疲れたら向こうで殺されちゃうからな。」
「え~!やだやだ!1回だけ!」「・・仕方ねえな。やるか!しっかりつかまれよ!」「わ~い!」
俺、結構子供受け良いんだよね。自分が子供だからか?!

1回だけのはずが群がる子供が可愛くなってしまいブンブンと振り回す。以前より皆重くなってる気がするな。今日は3人同時までだったが結構なもんだった。まぁまだまだ余裕だけどね。後は担いでグルグル回す遊びを何度かやって終了。疲れたわ~。息切れ切れだよ。

YKさんの支度が出来たのでテツヤさんとOBさんに挨拶して出発。「何か凄い緊張して来ちゃった・・。」「ちょっと~!あれだけ行きたいって言ってたのに。」M市体育館が近づくにつれてYKさんの緊張度合いが酷くなる。

「あ~!着いちゃうよ。どうしよう・・。」「大丈夫だから。皆フランクだし。」「帰りたくなって来た・・。」「ここまで来てそんな・・。」「だって見て!手が震えちゃってるよ。」超テンパるYKさん。実は俺も緊張していた。絶対に怪我をさせないようにせねば。

こっちの緊張を悟られないようにヘラヘラする。「はい、着いた~。さ、グローブ持って行こう。」「あれ?スパー用の奴が1個しかない!」「落としたんでしょ~。テツヤさんに電話してみたら?」「外に落ちてたのを父兄さんが持って来てくれたって。」「どんだけ緊張してるのよ。ってか、その女の子らしいバッグにパンチンググローブ入ってる人ってそうそう居ないよね。」

ヤダヤダ連呼してるYKさんを連れてM市体育館入り。トイレに行くYKさん。長椅子で待ってるとポリゴンさんが帰宅するところだった。ちょこっと話す。YKさんが来たので一緒に柔道場へ。「や~!もうどうしよう・・。」「散々プロで試合した人とは思えんわ~。」最後の最後までワーワーとうろたえるYKさん。さて行きますかね!

マー君が気が付いたので手を振る。走って来てくれた。マー君の案内で柔道場入り。館長が手前に居たので挨拶する。紹介しようと思ったら自分から挨拶出来ているYKさん。開き直ったのか?ロッカー行って俺が着替えるのを待ってもらう。レガースすら忘れてるのでスパー時は俺のグローブと脛あてを使ってもらう事に。

もうミットが終わってマスの時間らしい。皆に挨拶して練習開始。今日の面子は現役プロの仁王様、ご存知馬鹿代表トロル、暴れ馬マー君、優男よっちゃんの4人だけ。もうちょっと多ければ色々画策出来るのだが、こう少ないとスパーの相手が限定されてしまう・・。

YKさんのミットを持つ。先ずはパンチから。ポスポス♪楽しげな音が響く。思わず吹いてしまった。「ちょっと!何これ~?」「緊張しちゃってダメだ~。」その後もポスポスのYKさん。ヤバイ。

キックミットにチェンジ。おっ!ローは走ってるな。「すごっ!」見ていたマー君とトロルが呟く。左右のローもミドルも良い感じ。ただいつもよりスピードがないかも。ミット打ちも終わり、いよいよマスに。事前に話してたとおりにマー君と。大丈夫かな~。超近くで凝視。

スパー開始!あれ?何だかYKさんの動きがおかしいぞ。ステップもパンチもキックもいつもより相当遅いわ。だあ~っ!マー君が蹴りもパンチも強めだぞ。おいおい。ハラハラしながら見守る。よっちゃんがポツリと「YKさん、いつもと違いますね~。」やっぱそうだよな~。それでもどうにか闘えちゃうYKさん。
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何とか無事終了。思ったよりもマー君の攻撃が速くて強くて焦ったけど、流石YK姉さん。クリーンヒットはさせなかった。何発かパンチもローも入れたし上等だね。あ~すげぇ疲れたわ~。撮影時以外、ず~っと見てたからね。

一安心してたらマー君が「Mさん(仁王様)とどうですか?」ヤバイな~と思いつつも、空いてるのは仁王様以外はトロルだしなぁ。YKさんに「どう?」と聞いたら「良いですよ。」既にファイター面になってる。頼もしいじゃないのよ。

横ではよっちゃんがトロルにボディをもらって悶絶ダウン中・・流石M塾。これで飯食う訳でもないのにここまでやる必要があるのか疑問。まぁいくら言っても効果ないからもう知らんけどね。とにかくYKさんがこんな事になったら大変だ。スパー前に仁王様に色々言っておく。

にこやかに「分かりました!」と言ってくれたが心配だ。自分でも「MAK君が見ておかしいと思ったら言って!」と言い放ちスパーに出陣する仁王様。まさかYKさんと仁王様がスパーする日が来るとは思わなかったな~。

仁王様は現役のミドル級キックボクサー。この威圧感ある構えからジリジリと距離をつめて来るんだよね。今日のYKさんは足が遅いので心配だ・・。
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果敢にパンチのコンビネーションで攻め込むYKさん。お~っ!鉄壁の仁王様にアッパーが当たった!すげぇ!マー君も驚いている。そしてロー!しかし仁王様は蹴った方が壊れるという「膝ブロック」の使い手なので危険だ。パンチからインローを何度も当てるYKさん。頑張ってるなぁ・・。仁王様は力加減が分からないみたいで全然攻撃して来ない。最後のほうにちょこっと来たが無事終了。はぁ~疲れた~。

最後はもう1回マー君と。マー君の変則気味の左ハイがYKさんの顔をかすめたのでヒヤヒヤ。しかしYKさんも接近戦の打ち合いからアッパーをHITさせていた。流石。
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これでタイムリミット。何だか自分がスパーするより疲れたわ・・。いつも通り館長の小さすぎる声の挨拶後に掃除してロッカーへ。YKさんは他の部屋へ。

「ジャブからインロー、かなりもらっちゃった。あとパンチのタイミングが良いね。打撃の選手とリズムが違う。」と仁王様。マー君も「アッパーやられました。あとローはカットしてるんすけど重いっすね~。」なかなか好評。

「今日は緊張で動けなかったそうです。」「今後はこの時間なら2人とも来れるの?」
「いや今回はたまたまで。また機会があれば来ますよ。」「そうか~。」
仁王様、思いっきり残念そう・・。

YKさんと車へ。「何処も怪我してない?」「大丈夫です。でも全然足が動かなくて。もつれちゃった。」「今日ステップ遅かったもんね~。」ここから今日のスパーを振り返る。

「仁王様どうだった?プレッシャー凄いでしょ?」「うん。でも前後の動きしかなくないですか?」「え~っ!1回で分かったの?」「はい。」「やっぱ凄いね~。感動。」

YKさんは仁王様の動きの欠点を1度のスパーで見抜いていた。正直これにはビックリ。

「マー君は?右ローに右ストレート合わせてたね。あれ結構強く打ってたからヒヤヒヤしたよ。全体的に攻撃が強くなかった?凄い心配だったんだけど・・。」「そんなに感じなかったかな。割と大丈夫でしたよ。あ、カウンター狙ってるの分かりました。左ハイ痛かった~。」「大丈夫?」「痛いだけ。」

車内はスパーネタで盛り上がる。ちょっとお茶しましょうという事になってガストへ。さっき別れたばかりのよっちゃんも呼び寄せて3人で色んな話をする。柄の悪い客が携帯で大声で怒鳴ってるのにドン引き。「ここファミリーレストランなんですけど~。」「あ、今言おうと思ったのに。」

「よっちゃん、全然赤鮫の時と違うから話しかけられなかった・・。」「ニコリともしないで怖かったよね~。」「そうすかね。違いますかね。」「全然違うよ~。」

この後も色々格闘技話で盛り上がり夜は更けていった。適当な時間でバイバイ。俺はYKさんを赤鮫に送る。ここでも車内で思い出した事で盛り上がる。遅くなってしまったが、どうにか無事に送り届ける事が出来て良かった~。今日の精神的疲労で髪の毛がかなり抜けたな・・。YKさんに良い育毛剤を買ってもらおう。

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