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深夜0時過ぎの国道、2台の車が猛スピードで東へ駆けて行く。
信号のタイミングを計りながら、相手より先へとアクセルを踏み込む。
信号のタイミングを計りながら、相手より先へとアクセルを踏み込む。
クソッ!赤信号に引っ掛かっちまった。
隣を駆け抜ける車に目をやると、明後日の方を向いて歯をむき出しにし、ニ~ンと笑うMASAの顔。
あまりのアホ面に思わず吹き出す。深夜、F宮市からの帰り道はいつもこんな感じだった。
俺とMASAの彼女は姉妹で、門限は0時と同じだったので帰りがよく一緒になった。
ナンパに狂っていた時代に、S本浜で引っ掛かったのがN子姉妹だった。
俺は妹のN子と付き合う事になった。当時まだ16歳だった。
N子はとっくに処女を捨てており、若くして性に対して貪欲な女だった。
あまり人の事を言えた身分ではないが、他にも通じている相手が居る事は承知だった。
N子も俺の事をよく分かっていた様である。お互い似た者同士、性に奔放な人間。
激しく求め合い、快楽に溺れた。
それでも体の付き合いだけでは無かった。
難しい話は苦手だが、何事もカラカラと楽天的なN子と会っていると癒された。
甘えん坊な反面、5歳年上の俺を優しく包み込む事も出来る、懐の深い女であった。
この日もN子の自宅近くのホテルで激しい情交に及んだ。
「また先いっちゃってぇ!ダメって言ったのに~!」「ゴメン・・出ちゃった・・」
む~っとふくれっ面をしつつも、俺が果てる時はギュッと抱きしめてくれるN子に惚れていた。
「次は私がイクまで我慢してよね!」「うん・・」
N子に叱咤され、再び動き出す。今日何回目だっけ?色白のN子の体が赤みを帯びている。
「あ・・マコちゃん!いっちゃいそう!」「あ・・やべ・・」「ダメダメェ!」
再び果てそうになる俺の顔をピタピタ叩くN子。「ゴメン・・」「フフ・・私も間に合った・・」
そう言いながら俺の頭をゆっくり撫でてくれるN子の顔は満足気だった。
「あ!もうギリギリだよ!」「急ごう!」
いつも2人の帰り際はドタバタしていて、この日も家に送り届けたのは0時数分前だった。
何とか間に合った・・MASAの車がバックミラーに映る。どうやら奴もギリギリ間に合ったようだ。
自宅までは深夜でも小一時間掛かる。
毎度激しい情交なので体力が残っておらず、1人の時はかなり危ない。
少しでも気を抜けば、睡魔の格好の餌食となってしまうのだ。
過去、この帰り道で2度、路肩にぶつけた事がある。1度は国道の中央分離帯にぶつかって目が覚めた。
幸いバランスを崩さず、そのまま走行したので死なずにすんだ。トラック連中に一斉にクラクションを鳴らされたのを思い出す。
帰りがMASAと一緒の時は良い。
馬鹿みたいにぶっ飛ばして家まで一気に帰れるからだ。睡魔に襲われる事も無い。
この日もいつもと同じ様に、抜きつ抜かれつを繰り返しながら地元まで帰って来ていた。
深夜の信号のパターンは毎回殆ど一緒で、ここでぶっ飛ばしても次で引っ掛かる、等の予測は可能だ。
2人共、この時間帯の信号パターンを熟知しており、なるべく止まる事の無いよう、アクセルを調節しながら走っていた。
この次はゆっくり行けば青になるな・・そう考えながらアクセルをゆるめる。当然MASAも分かっている。
よし!青だ!2台の車はスピードを上げ、青に変わった交差点に突っ込む。
その刹那、横から1台の車が信号無視してブワッと交差点に入って来た!
やべぇ!フルブレーキしながら左にかわす。MASAは流石、俺より早く反応して右にかわしている。
間に合うか!?キキーッ!
何とか2台とも止まった。タイヤの溶けた臭いが鼻を衝く・・。
体がカーッと熱くなり、呼吸が速くなる。もう自分を止められなかった。
信号無視で突っ込んで来た車の姿は徐々に小さくなっている。
ギアを1速に突っ込んでアクセルを踏む。その車、プレリュードの姿が大きくなる。
猛スピードで追走して来た俺に気付き、スッと隣車線のトラックの陰に消えた。逃すか!
車内にはロッキーのサントラから「Going The Distance」が流れ始めた。
これはロッキーが試合に向けてトレーニングし始める時に流れる曲だ。
車の流れは詰まりつつも、着実にプレリュードに近づいていく。
丁度音楽と共にジリジリと緊張感が増してきた。
車内には大音量で「The Final Bell」が鳴り響く。
ロッキーが最終ラウンドで打ち合ってる時の曲だ。感情は更に高ぶる。
次の信号は赤・・よし!止まった!普段裸足で運転している俺は、そのまま靴も履かずに外へ駆け出した。
左斜め前に止まったプレリュード目掛けて走る。頭の中には「The Final Bell」が流れていた。
コンコン!フルスモークの運転席のガラスをノックする。
「おい!オマエ信号無視だろが!もうちょっとで全員死んでるぞ!」大声で叫ぶ!
ス~ッとパワーウィンドウが20cm程下がる。茶髪のいかにもヤンキー風の男の顔が見えた。
事もあろうに半笑いを浮かべながら「あ~?そりゃ悪かったなぁ!」男が巻き舌で呟く。
全く悪びれない威圧的な態度での返答に、俺の体が反応してしまった。
ガッと茶色い髪を鷲づかみにし、ガツンと窓の内側に頭を打ち付けた。
男は反撃しようとしたのか、窓を更に開ける。それを見て、右足で地面を蹴った。
空中で体を捻り、一気に右ヒザを顔面にぶち込む。グチャッ!右ヒザの内側に衝撃が走る。
「ぶぁっ!」男は助手席のドアの内側に頭をぶつける程、吹っ飛んだ。
運転席のドアを開け、追撃しようと車内に上半身を突っ込む。
「やめて~!もうやめて~!」けたたましい女の金切り声に驚く。
怒りに酔った俺は、助手席に女が居る事にすら気付いてなかった。迂闊だ。
「くそっ!」男が息を吹き返し、女のヒザから起き上がって来た。
咄嗟にドアを思い切り閉める。「ぐぁっ!」男の悲鳴が聞こえた。足が挟まっていたのだ。
更にそのドアに前蹴りを何発もぶち込む。「あぐっ!」男の甲高い声が響く。
男の足首から下は無残にもはみ出したままだ。
感情の暴発は止まらず、ガコッ!と、もう1発思い切りドアに蹴りをぶち込んだ所で、ふと後ろを振り返る。
既に信号は青、しかし気の荒いトラックの運転手どもがクラクションひとつ鳴らさない。
「があああ~っ!」両の拳を突き上げて雄叫びを上げる。片道3車線の国道のど真ん中でだ。
サッと車に乗り込み、アクセル全開で離脱する。MASAはピタリと後ろに張り付いている。
そのままMASAの工場に逃げる様に滑り込む。車を降りてMASAの車の運転席に歩み寄る。
「ありゃやべ~よ!ずっとナンバー見られないように隠してたんだぜ。」
言われてみれば俺の車のすぐ後ろにMASAの車が止まってたっけ。
相変わらずこういう頭の回転は素晴らしい男だ。頼りになる。
「やばかったかな?」「やばいよ。こんな事してるもん・・。」そう言って両拳を突き上げるMASA。
「大丈夫かな?」「大丈夫じゃねぇら。まじぃと思うよ。」散々MASAに脅かされて家路につく。
頭に血が上ったとはいえ、少しやりすぎてしまった。女の前で恥をかかせちまったし・・。
いや、あの時真面目に謝ってくれりゃ・・そうすれば何も起こらずに済んだんだ。
でもあそこまでやらなくても良かったんじゃないか・・くっ・・何かスッキリしねぇな・・。
ゆっくりと裏道を走る車の中で、自問自答は続いた。
カーステレオからは「Rocky's Reward」が静かに流れていた。
後日、右ヒザの内側は青黒く変色し、暫くの間、鈍痛が残った。
その黒さと痛みは、釈然としない胸の内を代弁しているかのようだった。
隣を駆け抜ける車に目をやると、明後日の方を向いて歯をむき出しにし、ニ~ンと笑うMASAの顔。
あまりのアホ面に思わず吹き出す。深夜、F宮市からの帰り道はいつもこんな感じだった。
俺とMASAの彼女は姉妹で、門限は0時と同じだったので帰りがよく一緒になった。
ナンパに狂っていた時代に、S本浜で引っ掛かったのがN子姉妹だった。
俺は妹のN子と付き合う事になった。当時まだ16歳だった。
N子はとっくに処女を捨てており、若くして性に対して貪欲な女だった。
あまり人の事を言えた身分ではないが、他にも通じている相手が居る事は承知だった。
N子も俺の事をよく分かっていた様である。お互い似た者同士、性に奔放な人間。
激しく求め合い、快楽に溺れた。
それでも体の付き合いだけでは無かった。
難しい話は苦手だが、何事もカラカラと楽天的なN子と会っていると癒された。
甘えん坊な反面、5歳年上の俺を優しく包み込む事も出来る、懐の深い女であった。
この日もN子の自宅近くのホテルで激しい情交に及んだ。
「また先いっちゃってぇ!ダメって言ったのに~!」「ゴメン・・出ちゃった・・」
む~っとふくれっ面をしつつも、俺が果てる時はギュッと抱きしめてくれるN子に惚れていた。
「次は私がイクまで我慢してよね!」「うん・・」
N子に叱咤され、再び動き出す。今日何回目だっけ?色白のN子の体が赤みを帯びている。
「あ・・マコちゃん!いっちゃいそう!」「あ・・やべ・・」「ダメダメェ!」
再び果てそうになる俺の顔をピタピタ叩くN子。「ゴメン・・」「フフ・・私も間に合った・・」
そう言いながら俺の頭をゆっくり撫でてくれるN子の顔は満足気だった。
「あ!もうギリギリだよ!」「急ごう!」
いつも2人の帰り際はドタバタしていて、この日も家に送り届けたのは0時数分前だった。
何とか間に合った・・MASAの車がバックミラーに映る。どうやら奴もギリギリ間に合ったようだ。
自宅までは深夜でも小一時間掛かる。
毎度激しい情交なので体力が残っておらず、1人の時はかなり危ない。
少しでも気を抜けば、睡魔の格好の餌食となってしまうのだ。
過去、この帰り道で2度、路肩にぶつけた事がある。1度は国道の中央分離帯にぶつかって目が覚めた。
幸いバランスを崩さず、そのまま走行したので死なずにすんだ。トラック連中に一斉にクラクションを鳴らされたのを思い出す。
帰りがMASAと一緒の時は良い。
馬鹿みたいにぶっ飛ばして家まで一気に帰れるからだ。睡魔に襲われる事も無い。
この日もいつもと同じ様に、抜きつ抜かれつを繰り返しながら地元まで帰って来ていた。
深夜の信号のパターンは毎回殆ど一緒で、ここでぶっ飛ばしても次で引っ掛かる、等の予測は可能だ。
2人共、この時間帯の信号パターンを熟知しており、なるべく止まる事の無いよう、アクセルを調節しながら走っていた。
この次はゆっくり行けば青になるな・・そう考えながらアクセルをゆるめる。当然MASAも分かっている。
よし!青だ!2台の車はスピードを上げ、青に変わった交差点に突っ込む。
その刹那、横から1台の車が信号無視してブワッと交差点に入って来た!
やべぇ!フルブレーキしながら左にかわす。MASAは流石、俺より早く反応して右にかわしている。
間に合うか!?キキーッ!
何とか2台とも止まった。タイヤの溶けた臭いが鼻を衝く・・。
体がカーッと熱くなり、呼吸が速くなる。もう自分を止められなかった。
信号無視で突っ込んで来た車の姿は徐々に小さくなっている。
ギアを1速に突っ込んでアクセルを踏む。その車、プレリュードの姿が大きくなる。
猛スピードで追走して来た俺に気付き、スッと隣車線のトラックの陰に消えた。逃すか!
車内にはロッキーのサントラから「Going The Distance」が流れ始めた。
これはロッキーが試合に向けてトレーニングし始める時に流れる曲だ。
車の流れは詰まりつつも、着実にプレリュードに近づいていく。
丁度音楽と共にジリジリと緊張感が増してきた。
車内には大音量で「The Final Bell」が鳴り響く。
ロッキーが最終ラウンドで打ち合ってる時の曲だ。感情は更に高ぶる。
次の信号は赤・・よし!止まった!普段裸足で運転している俺は、そのまま靴も履かずに外へ駆け出した。
左斜め前に止まったプレリュード目掛けて走る。頭の中には「The Final Bell」が流れていた。
コンコン!フルスモークの運転席のガラスをノックする。
「おい!オマエ信号無視だろが!もうちょっとで全員死んでるぞ!」大声で叫ぶ!
ス~ッとパワーウィンドウが20cm程下がる。茶髪のいかにもヤンキー風の男の顔が見えた。
事もあろうに半笑いを浮かべながら「あ~?そりゃ悪かったなぁ!」男が巻き舌で呟く。
全く悪びれない威圧的な態度での返答に、俺の体が反応してしまった。
ガッと茶色い髪を鷲づかみにし、ガツンと窓の内側に頭を打ち付けた。
男は反撃しようとしたのか、窓を更に開ける。それを見て、右足で地面を蹴った。
空中で体を捻り、一気に右ヒザを顔面にぶち込む。グチャッ!右ヒザの内側に衝撃が走る。
「ぶぁっ!」男は助手席のドアの内側に頭をぶつける程、吹っ飛んだ。
運転席のドアを開け、追撃しようと車内に上半身を突っ込む。
「やめて~!もうやめて~!」けたたましい女の金切り声に驚く。
怒りに酔った俺は、助手席に女が居る事にすら気付いてなかった。迂闊だ。
「くそっ!」男が息を吹き返し、女のヒザから起き上がって来た。
咄嗟にドアを思い切り閉める。「ぐぁっ!」男の悲鳴が聞こえた。足が挟まっていたのだ。
更にそのドアに前蹴りを何発もぶち込む。「あぐっ!」男の甲高い声が響く。
男の足首から下は無残にもはみ出したままだ。
感情の暴発は止まらず、ガコッ!と、もう1発思い切りドアに蹴りをぶち込んだ所で、ふと後ろを振り返る。
既に信号は青、しかし気の荒いトラックの運転手どもがクラクションひとつ鳴らさない。
「があああ~っ!」両の拳を突き上げて雄叫びを上げる。片道3車線の国道のど真ん中でだ。
サッと車に乗り込み、アクセル全開で離脱する。MASAはピタリと後ろに張り付いている。
そのままMASAの工場に逃げる様に滑り込む。車を降りてMASAの車の運転席に歩み寄る。
「ありゃやべ~よ!ずっとナンバー見られないように隠してたんだぜ。」
言われてみれば俺の車のすぐ後ろにMASAの車が止まってたっけ。
相変わらずこういう頭の回転は素晴らしい男だ。頼りになる。
「やばかったかな?」「やばいよ。こんな事してるもん・・。」そう言って両拳を突き上げるMASA。
「大丈夫かな?」「大丈夫じゃねぇら。まじぃと思うよ。」散々MASAに脅かされて家路につく。
頭に血が上ったとはいえ、少しやりすぎてしまった。女の前で恥をかかせちまったし・・。
いや、あの時真面目に謝ってくれりゃ・・そうすれば何も起こらずに済んだんだ。
でもあそこまでやらなくても良かったんじゃないか・・くっ・・何かスッキリしねぇな・・。
ゆっくりと裏道を走る車の中で、自問自答は続いた。
カーステレオからは「Rocky's Reward」が静かに流れていた。
後日、右ヒザの内側は青黒く変色し、暫くの間、鈍痛が残った。
その黒さと痛みは、釈然としない胸の内を代弁しているかのようだった。
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