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全くうるせえなぁ・・この日のトレーニング室は最悪だった。
最近見かける様になった高校生らしき集団が、部屋のあちこちで大騒ぎしている。
マナーも器具の扱いも最悪だ。
さっさとやって帰ろう・・イライラしつつも黙々と体を苛め抜いていたのだが・・。
最近見かける様になった高校生らしき集団が、部屋のあちこちで大騒ぎしている。
マナーも器具の扱いも最悪だ。
さっさとやって帰ろう・・イライラしつつも黙々と体を苛め抜いていたのだが・・。
ここS市民体育館のトレーニング室に通い出したのは随分前になる。十数年前になるだろうか。
KIYOから「市民体育館にしては珍しくサンドバッグがある」と聞いて通うようになった。
フリーウェイトは無いがマシンの類は充実していて、粗方の筋トレはここで出来てしまう。
1時間程の講習を受ければ100円で利用可能なので、万年金欠の俺は足繁く通っていた。
普段は昼間に来ていたのだが、何だか時間が取れず、珍しく夜に顔を出す破目になった。
流石に夜は混んでいる。空いているマシンからやっていくしかない。
上記のガキどもは真剣にやる訳でもなく、力比べをしたりして大騒ぎしている。
5~6人で実質トレ室の半分を使って騒いでおり、サンドバッグにも2人の小僧が張り付いている。
全く変な日に来ちまったなぁ・・・。
それでも空いたマシンを次々にこなしていく。
ガキどもは全員、50kgまである固定バーベルで遊んでいる。
今の内にサンドバッグを叩いとこう。
使い古したパンチンググローブをリュックから取り出し、軽く叩き始める。
ここでは叩き出すと必ず男連中がチラチラ見始める。
特に普段見慣れない輩が叩く時はその傾向は顕著だ。
アイツはどの程度やるのか?経験者ほど真剣に観察してるのが分かる。
ガキどもは大騒ぎしつつも気にしている。
軽くほぐれてきたので本気で叩き出す。
ここは蹴り禁止なのでパンチのみをぶち込む。
グローブとサンドバッグ、皮と皮が接触し、弾ける様な乾いた音が室内に鳴り響く。
素人ではこの音が出ない。当たった瞬間弾くようにインパクトを加えなければ、ボスボスといった音になる。
もっともこれはグローブを用いた技術、素手の場合は打ち方が異なる。
人目を感じながら叩くのは嫌いな方ではない。
俺みたいな小物特有の「くだらない負けん気」に火が付く。これが良い方向に作用する。
より強く、より速く、より美しく打ってやろう!そう思いながら叩くので、雑にならずに済むのだ。
この日も一心不乱に叩きまくる。
ここのトレーニング室は室内に荷物置き場がある。
勿論ロッカーはあるのだが、部屋の端に長いテーブルや椅子が幾つか置いてあるので、皆そこに置いている。
人が多い時は着替えや飲み物、タオル等が等間隔に並ぶ。
まともな人は他人の荷物に触れる様な距離には置かないのがこれで分かる。
悪い事に俺のリュックが置いてある周辺は、あの集団の荷物置き場らしい。
乱雑に物が散乱している。奴らのタオルや服は、俺のリュックに掛かっている物もある。
いつも眼鏡をリュックの上にそのまま置いてあるので気になって仕方ない。
ガキどもの半分は、トレ室を出た所にある喫煙用の長椅子で煙草を吸い始めた。
近頃のガキは良い御身分だな・・数ラウンド叩き終えて、サンドバッグ脇の椅子で休む。
煙草を吸っていたガキどもが再び入室して来た。
一番小生意気そうな小僧が何やら大声で喚きながら、脱いだ上着をバサーッと荷物置き場に投げつける。
カツッ!俺の眼鏡に小僧の上着の金具が当たった・・・。
小僧はそのまま煙草を持って部屋の外へ消えた。
最初からこのガキどもは振る舞いが乱暴なのが気に入らなかった。
普通の高校生がワイワイやってるのならば、うるせえなぁ・・で済む。
しかしコイツらは言葉使いや立ち振る舞いがヤンキーチックで威圧的だった。
一般の人がマシンの近くに行っても、駄弁っているだけのくせに退きもしない。
大声で話し、大して重くないダンベルをドカンと乱暴に置く。
サンドバッグで爆発しそうな感情を誤魔化していたのに、小僧が起爆スイッチを押してしまった。
リュックに覆い被さった小僧の上着を床に投げ捨て、眼鏡をチェックする。
元々傷だらけなので今回傷がついたか分からない。
トレ室を出ると、短髪で眉毛の殆ど無い、小生意気そうな小僧が渋い面してプカリと煙草を吹かしている。
深呼吸をし、口を開く。「あのなぁ・・あんな遠くから何の確認もしないで上着投げるなよ。」
小僧が上目使いで不思議そうに俺を見る。「眼鏡とか置いてある人も居るからさ。」
小僧は何も言わずに、昔のホテルのロビーでよく見掛けたUFOが浮いている様な足が細くて長い灰皿に煙草を押し付けた。こっちが大人しくしてりゃこの態度だ。カーッと体が熱くなる。
「お前の上着の金具が俺の眼鏡に当たったんだよ!」意識もせぬ内に語気が荒くなる。
くだらない事で怒るオッサンにアゴを突き出す様な感じで軽く頭を下げる小僧。
これで更に着火。最近のガキは謝り方すら知らない。
カァ-ン!カラカラカラ・・・UFO灰皿が物凄い勢いで吹っ飛んでいく。
細く長い足は真ん中辺りで「くの字」に曲がっている。カッとなって蹴りをぶち込んでしまったのだ。
「真面目に聞いてんのか?おい。」「は・・はい。」
「さっきからオメーら気に入らねえんだよ!マナーが悪すぎだぞ!」
小僧は突如目の前で怒り狂うオッサンに動揺を隠せない。
「大人数だからって調子こいてんじゃねえよ!俺とオマエら全員で喧嘩してみるか?」「いえ・・」
「連れて来いよ!早く!全員ならオッサン1人なんて訳ね~だろ?」「いや・・殺されます・・」
こりゃサンドバッグ打ちがかなり効いてるな。
「いきなり怒鳴っちまって悪かったな。でも皆が運動するとこだからさ。」「はい。」
「年配の人は俺みたいに眼鏡置いてある人も結構居るからな。上着だって普通に置けば良いじゃんか。」
「気をつけます・・」
騒ぎを聞きつけガキどもがトレ室から出て来た。
「アイツらにも言っといてくれよ。喧嘩したいなら買ってやるけど?」「いえ・・言っときます。」
そう言いながら水飲み場へと歩く。背後から襲われるかもしれないので聴覚に神経を集中。
何やらコソコソと話をするのが聞こえる。
トイレに行き、水を飲んで帰って来ると、ガキどもは静かになっている。
目を合わさずに歩いて行き、リュックから汗で湿ったグローブを取り出す。
ダメ押ししとかないとな・・再びサンドバッグに向かい思い切りパンチをガンガン叩き込む。
興奮しすぎておかしな角度で左ボディブローが入ってしまった。手首をやっちゃった・・。
それでも休む事は出来ない。激痛が走る左手をサンドバッグにぶち込む。
悟られてはいかん・・全く俺って馬鹿だよなぁ。
早く帰れ~!激痛に耐えながら打ち続ける。
するとガキどもが俺のとこに集まって来た。さっきとは打って変わってモジモジしてやがる。
「あの、スイマセンでした。」「皆でマナー守って仲良くやろうよ。」「はい。」
激痛で不自然に汗がダラダラの顔でニコッと送り出す。
急いでトイレに行き、手首を冷やす・・ダメだ。
汗を拭き、着替えて車に向かう。さっきの奴らの待ち伏せを想定して車まで歩く。
左手を壁伝いに歩く。これなら囲まれないし、生きてる右手で攻撃出来る。
こんなのは俺にとって基礎中の基礎だ。
痛む手をかばいながら運転し、女と住んでるアパートに帰る。
「ただいま~。」「遅かったね、何かあった?」Y子は年上で勘が鋭い女だった。
腫れ上がる左手を見て「またやったの?!」「いや・・自爆・・」
「馬鹿だねぇ~。良いとこ見せようとしたんだろ?」「図星・・」
シャワーを浴びて湿布を貼る。
「ママァ・・痛いよぉ・・」「全く世話が焼けるなぁ。」
「良い子良い子して・・」「甘ったれんじゃないよ。」と言いつつやってくれるY子に惚れていた。
恥ずかしながら小生、包容力のある女の前では幼児帰りしてしまうのだ。
「オマエはホント、器が小さいなぁ・・」「うん・・これ位かなぁ?」「そんなに無い無い。」
大好きなY子の胸に抱かれて、胎児の様に体を丸めた。
いつもと同じ、優しい匂いがした。
KIYOから「市民体育館にしては珍しくサンドバッグがある」と聞いて通うようになった。
フリーウェイトは無いがマシンの類は充実していて、粗方の筋トレはここで出来てしまう。
1時間程の講習を受ければ100円で利用可能なので、万年金欠の俺は足繁く通っていた。
普段は昼間に来ていたのだが、何だか時間が取れず、珍しく夜に顔を出す破目になった。
流石に夜は混んでいる。空いているマシンからやっていくしかない。
上記のガキどもは真剣にやる訳でもなく、力比べをしたりして大騒ぎしている。
5~6人で実質トレ室の半分を使って騒いでおり、サンドバッグにも2人の小僧が張り付いている。
全く変な日に来ちまったなぁ・・・。
それでも空いたマシンを次々にこなしていく。
ガキどもは全員、50kgまである固定バーベルで遊んでいる。
今の内にサンドバッグを叩いとこう。
使い古したパンチンググローブをリュックから取り出し、軽く叩き始める。
ここでは叩き出すと必ず男連中がチラチラ見始める。
特に普段見慣れない輩が叩く時はその傾向は顕著だ。
アイツはどの程度やるのか?経験者ほど真剣に観察してるのが分かる。
ガキどもは大騒ぎしつつも気にしている。
軽くほぐれてきたので本気で叩き出す。
ここは蹴り禁止なのでパンチのみをぶち込む。
グローブとサンドバッグ、皮と皮が接触し、弾ける様な乾いた音が室内に鳴り響く。
素人ではこの音が出ない。当たった瞬間弾くようにインパクトを加えなければ、ボスボスといった音になる。
もっともこれはグローブを用いた技術、素手の場合は打ち方が異なる。
人目を感じながら叩くのは嫌いな方ではない。
俺みたいな小物特有の「くだらない負けん気」に火が付く。これが良い方向に作用する。
より強く、より速く、より美しく打ってやろう!そう思いながら叩くので、雑にならずに済むのだ。
この日も一心不乱に叩きまくる。
ここのトレーニング室は室内に荷物置き場がある。
勿論ロッカーはあるのだが、部屋の端に長いテーブルや椅子が幾つか置いてあるので、皆そこに置いている。
人が多い時は着替えや飲み物、タオル等が等間隔に並ぶ。
まともな人は他人の荷物に触れる様な距離には置かないのがこれで分かる。
悪い事に俺のリュックが置いてある周辺は、あの集団の荷物置き場らしい。
乱雑に物が散乱している。奴らのタオルや服は、俺のリュックに掛かっている物もある。
いつも眼鏡をリュックの上にそのまま置いてあるので気になって仕方ない。
ガキどもの半分は、トレ室を出た所にある喫煙用の長椅子で煙草を吸い始めた。
近頃のガキは良い御身分だな・・数ラウンド叩き終えて、サンドバッグ脇の椅子で休む。
煙草を吸っていたガキどもが再び入室して来た。
一番小生意気そうな小僧が何やら大声で喚きながら、脱いだ上着をバサーッと荷物置き場に投げつける。
カツッ!俺の眼鏡に小僧の上着の金具が当たった・・・。
小僧はそのまま煙草を持って部屋の外へ消えた。
最初からこのガキどもは振る舞いが乱暴なのが気に入らなかった。
普通の高校生がワイワイやってるのならば、うるせえなぁ・・で済む。
しかしコイツらは言葉使いや立ち振る舞いがヤンキーチックで威圧的だった。
一般の人がマシンの近くに行っても、駄弁っているだけのくせに退きもしない。
大声で話し、大して重くないダンベルをドカンと乱暴に置く。
サンドバッグで爆発しそうな感情を誤魔化していたのに、小僧が起爆スイッチを押してしまった。
リュックに覆い被さった小僧の上着を床に投げ捨て、眼鏡をチェックする。
元々傷だらけなので今回傷がついたか分からない。
トレ室を出ると、短髪で眉毛の殆ど無い、小生意気そうな小僧が渋い面してプカリと煙草を吹かしている。
深呼吸をし、口を開く。「あのなぁ・・あんな遠くから何の確認もしないで上着投げるなよ。」
小僧が上目使いで不思議そうに俺を見る。「眼鏡とか置いてある人も居るからさ。」
小僧は何も言わずに、昔のホテルのロビーでよく見掛けたUFOが浮いている様な足が細くて長い灰皿に煙草を押し付けた。こっちが大人しくしてりゃこの態度だ。カーッと体が熱くなる。
「お前の上着の金具が俺の眼鏡に当たったんだよ!」意識もせぬ内に語気が荒くなる。
くだらない事で怒るオッサンにアゴを突き出す様な感じで軽く頭を下げる小僧。
これで更に着火。最近のガキは謝り方すら知らない。
カァ-ン!カラカラカラ・・・UFO灰皿が物凄い勢いで吹っ飛んでいく。
細く長い足は真ん中辺りで「くの字」に曲がっている。カッとなって蹴りをぶち込んでしまったのだ。
「真面目に聞いてんのか?おい。」「は・・はい。」
「さっきからオメーら気に入らねえんだよ!マナーが悪すぎだぞ!」
小僧は突如目の前で怒り狂うオッサンに動揺を隠せない。
「大人数だからって調子こいてんじゃねえよ!俺とオマエら全員で喧嘩してみるか?」「いえ・・」
「連れて来いよ!早く!全員ならオッサン1人なんて訳ね~だろ?」「いや・・殺されます・・」
こりゃサンドバッグ打ちがかなり効いてるな。
「いきなり怒鳴っちまって悪かったな。でも皆が運動するとこだからさ。」「はい。」
「年配の人は俺みたいに眼鏡置いてある人も結構居るからな。上着だって普通に置けば良いじゃんか。」
「気をつけます・・」
騒ぎを聞きつけガキどもがトレ室から出て来た。
「アイツらにも言っといてくれよ。喧嘩したいなら買ってやるけど?」「いえ・・言っときます。」
そう言いながら水飲み場へと歩く。背後から襲われるかもしれないので聴覚に神経を集中。
何やらコソコソと話をするのが聞こえる。
トイレに行き、水を飲んで帰って来ると、ガキどもは静かになっている。
目を合わさずに歩いて行き、リュックから汗で湿ったグローブを取り出す。
ダメ押ししとかないとな・・再びサンドバッグに向かい思い切りパンチをガンガン叩き込む。
興奮しすぎておかしな角度で左ボディブローが入ってしまった。手首をやっちゃった・・。
それでも休む事は出来ない。激痛が走る左手をサンドバッグにぶち込む。
悟られてはいかん・・全く俺って馬鹿だよなぁ。
早く帰れ~!激痛に耐えながら打ち続ける。
するとガキどもが俺のとこに集まって来た。さっきとは打って変わってモジモジしてやがる。
「あの、スイマセンでした。」「皆でマナー守って仲良くやろうよ。」「はい。」
激痛で不自然に汗がダラダラの顔でニコッと送り出す。
急いでトイレに行き、手首を冷やす・・ダメだ。
汗を拭き、着替えて車に向かう。さっきの奴らの待ち伏せを想定して車まで歩く。
左手を壁伝いに歩く。これなら囲まれないし、生きてる右手で攻撃出来る。
こんなのは俺にとって基礎中の基礎だ。
痛む手をかばいながら運転し、女と住んでるアパートに帰る。
「ただいま~。」「遅かったね、何かあった?」Y子は年上で勘が鋭い女だった。
腫れ上がる左手を見て「またやったの?!」「いや・・自爆・・」
「馬鹿だねぇ~。良いとこ見せようとしたんだろ?」「図星・・」
シャワーを浴びて湿布を貼る。
「ママァ・・痛いよぉ・・」「全く世話が焼けるなぁ。」
「良い子良い子して・・」「甘ったれんじゃないよ。」と言いつつやってくれるY子に惚れていた。
恥ずかしながら小生、包容力のある女の前では幼児帰りしてしまうのだ。
「オマエはホント、器が小さいなぁ・・」「うん・・これ位かなぁ?」「そんなに無い無い。」
大好きなY子の胸に抱かれて、胎児の様に体を丸めた。
いつもと同じ、優しい匂いがした。
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